2025.06.02
迅速検査ガイド:感染症ごとの検査可否一覧
今までにこういうまとめをしていなかったので載せてみます。
実際、ウイルス性疾患の場合は、全例血液検査でPCRをすると未知のウイルス以外はウイルスが同定されます。
しかし、結果がわかるのは大概症状が良くなってからであり、保険適応外が多数あるため実際には検査しないことがほとんどです。
No. | 感染症 | 検体(採取部位) |
---|---|---|
1 | A群β溶血性レンサ球菌(溶連菌) | 喉(咽頭ぬぐい液) |
2 | インフルエンザウイルス | 鼻(鼻腔ぬぐい液) |
3 | RSウイルス | 鼻(鼻腔ぬぐい液) |
4 | マイコプラズマ | 喉(咽頭ぬぐい液) |
5 | 百日咳菌(Bordetella pertussis) | 喉(咽頭ぬぐい液) |
6 | ヒトメタニューモウイルス(hMPV) | 鼻(鼻腔ぬぐい液) |
7 | 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) | 鼻(鼻腔ぬぐい液) |
8 | アデノウイルス | 喉(咽頭ぬぐい液) |
9 | ノロウイルス | 便(便検体) |
10 | ロタウイルス | 便(便検体) |
以下の疾患は、臨床でよく遭遇する疾患で症状・血液・抗体検査などで診断します。水痘以外は迅速検査キットは2025年現在存在していません。
- 突発性発疹(ヒトヘルペスウイルス)
診断法:高熱が数日前後続き、その後に体幹へ紅斑が出る特徴的な経過で臨床診断します。 - おたふく風邪(流行性耳下腺炎)
診断法:耳下腺(耳の下の唾液腺)が腫れて痛む症状が特徴で、視診・触診で診断します。必要に応じて血清抗体検査を外注します。
実際は『おたふくかぜ』『EBV感染症』『単純性耳下腺炎』との評価が非常に難しい場合もあります。 - ヘルパンギーナ・手足口病
診断法:口内に小さな水疱や潰瘍(ヘルパンギーナ)、あるいは手足や口まわりに小さな発疹(手足口病)がみられます。 - 川崎病
診断法:持続する高熱(5日以上)、両側結膜充血、口唇紅潮・イチゴ舌、皮膚発疹、手足末端の紅腫、頸部リンパ節腫脹などの診断基準を満たすかどうかで診断します。迅速キットはなく、血液検査やエコー検査で冠動脈の評価を行います。 - 細菌性食中毒(菌の同定)
診断法:症状や食歴をもとに食中毒を疑い、便培養や嘔吐物培養で病原菌を同定します。迅速キットはなく、外部検査機関で培養検査を行います。 - 水痘(水疱瘡;Varicella-zoster virus)
診断法:全身に痒みを伴う水疱性発疹が特徴的で、臨床所見で判断します。見た目で診断できるため迅速キットは不要です。(迅速キットは存在します)