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2025.11.01

インフルエンザワクチン接種で社会を守ろう

インフルエンザワクチン接種で社会を守ろう
インフルエンザ予防接種の時期がやってきました。今回は最新情報についてお届けします。
今年は例年どおり〜やや早めの立ち上がり傾向です。
尼崎のいま:定点あたり1.27(第38週:9/15–9/21)で、近畿地方は全国より一歩早めに増加に入った印象です。
ワクチンの種類:従来の注射(不活化)に加え、経鼻の生ワクチン(フルミスト®)が去年から国内で始まっています。
今年のワクチンについてQ&A形式でまとめてみました。

予防接種Q&A

Q1. 何歳から?回数は?

6か月以上のすべての方に接種を推奨。
小児は年齢と接種歴で2回が基本。(初めて・接種歴が不十分な場合は4週間隔で2回)
フルミスト®は2歳以上〜19歳未満が国内の対象。(諸外国では2〜49歳、59歳まで)

Q2. フルミスト®って?

特徴:鼻に噴霧して、鼻・のどの粘膜免疫もねらえます。

注意点
対象外:強い喘息、免疫抑制状態、アスピリン内服中などがあります。
検査との関係:接種後しばらくはワクチン由来ウイルスで簡易検査が陽性になることがあります。
接種の実務直後に鼻をかんでもOKです。打ち直しは不要です。
鼻づまりが強い日は延期か注射に変更を検討してください。直前に軽く鼻をかんでおくと到達性が上がります。
国内治験で、51%に鼻づまり症状、34%にせき症状が認められています。特に大人の方に多いです。
当院では費用対効果や海外での対象年齢を見兼ね、19歳以上の方でも希望があれば接種可能としています。
ただ副反応に関しては、予防接種健康被害救済制度の対象外となります。

Q3. 効果はどのくらい?どれくらい持続?

どのワクチンでも接種後約2週間で立ち上がり、季節の中でゆっくり低下していきます。
ワクチン有効性が1か月あたり約6–11%低下と報告されています。個人差はありますが、概ね流行シーズン持つという理解で良いと思います。
予防効果に関して研究の平均では、おおむね40〜70%と言われています。(注射・経鼻で差無し)(米CDCによる)
ACIP(米CDCの予防接種勧告)も「シーズン中の効果減衰」を前提に、毎シーズンの接種を推奨しています。
経鼻(フルミスト®):1年持続すると考えられていますが、株・年によって強さがぶれるため、注射より明確に長持ちとまでは言えません。
重症化予防:入院や重症のリスクを下げる効果は発症予防以上に安定して期待できます。

Q4. そもそも接種する意義は?(全ての予防接種に当てはまります)

個人を守る(個人防衛)
社会を守る(社会防衛)
予防接種を受けることで、その病気に対する免疫力が作られ、発症や重症化を防ぎます。多くの人がその予防接種を行うことで、集団の中に感染者が出ても流行を防ぐといった集団免疫効果が発揮されます。そういうことでワクチン接種することができない人を守るということにも繋がります。
妊婦さんはお母さんの重症化予防に加え、生後6か月未満の赤ちゃんも移行抗体で守れます。

Q5.インフルエンザだけなぜ毎年話題になるの?

毎年「顔が変わる」からインフルエンザは抗原ドリフトで少しずつ姿を変えるため、ワクチンも毎年作り直しが必要です。他の多くのワクチンは型や標的が固定のため、基本は定期接種をこなすだけになります。

  • 季節性+波の大きさ
    毎冬に全国同時多発的に流行することにより、学級閉鎖や、イベント中止など経済的ダメージも大きいです。外来逼迫が一気に押し寄せます。麻疹や百日咳の散発流行はあっても、医療・学校・企業へ影響が及ぶまでには至りません。

  • ハイリスク層の裾野が広い
    高齢者・妊婦・乳幼児・慢性疾患・透析・心肺疾患…と影響を受けやすい人が多く、社会全体の入院・死亡を押し上げるポテンシャルが大きいです。ワクチン接種が始まる前は日本での致死率も高かったです。いまだに世界中では20-60万人がなくなっています。

  • 人獣共通感染のリスク
    鳥・豚など動物リザーバーからの新型(シフト)が理論的に常にあるため、いつパンデミックになってもおかしくないというとこが考えられます。

最後に

インフルエンザは毎年やってくる冬の嵐です。
ワクチン接種で、自分・家族・社会を守りましょう!