ワクチン

2024.05.22

痛みゼロのワクチン接種がすぐそこに!

本日(5/22)の記事をもとにしています。

ロンドン大学の研究グループは、「痛くないマイクロニードルポンプ」を使った新しいワクチン接種方法を開発しました。この技術により、痛みを感じずにワクチンを接種できる可能性があります。

これが実現するとかなり予防接種が楽になることは間違いありません。

試験内容と結果

ガンビアで行われた臨床試験では、以下のような結果が得られました:

参加者:45人の成人、120人の幼児、120人の乳児がランダムに選ばれて接種されました。
安全性:成人と幼児では、接種後14日間に重大な安全性の問題はありませんでした。

MRV-MNP(マイクロニードルポンプ)を使ったワクチン接種の効果は以下の通りです:

麻疹に対する効果:MRV-MNPを使用した乳児の93%が麻疹に対する抗体を獲得しました。従来の皮下注射(MRV-SC)を使用した乳児では90%が抗体を獲得しました。
風疹に対する効果:両方の方法を使用した乳児は全員(100%)が風疹に対する抗体を獲得しました。

この結果から、新しい方法(MRV-MNP)は従来の注射方法と同じくらい、もしくはそれ以上に効果的であることが分かりました。
副反応としては、接種部位の硬結(かたくなること)が幼児の77%、乳児の65%で見られましたが、すべて軽度であり、重大な副作用はありませんでした。

マイクロニードルとは?

マイクロニードルは、0.001mmほどの非常に小さな針のことです。医療や美容の分野で広く活用されています。例えば、化粧品では、マイクロニードルが肌の深部まで届いて美容成分を確実に届けることができます。これにより、通常のスキンケアよりも高い効果が期待されます。

マイクロニードルポンプとは?

マイクロニードルポンプは、電気の力を使ってワクチンを皮膚に送り込む特別な機能を持つマイクロニードルです。この技術により、皮膚の表層にわずかに刺さるだけで、痛みを感じにくく、安全にワクチンを投与できます。

今後の展望

マイクロニードルパッチ技術は、痛みのないワクチン接種を実現し、予防接種の普及に大きく貢献する可能性があります。また、ワクチンの輸送や保存が簡単になり、医療従事者がいなくても接種が可能になることが期待されています。研究グループは、さらに大規模な臨床試験を計画しており、この技術がより多くの人々に届くように努めています。

マイクロニードルパッチによる痛みのないワクチン接種は、子どもたちの予防接種のハードルを大きく下げる画期的な技術です。この方法が普及することで、世界中でより多くの人々がワクチンの恩恵を受けることが期待されます。

2024.01.05

予防接種ワクチンについて

一般的にワクチンを打つ目的

予防接種を受けることで、その病気に対する免疫力が作られ、発症や重症化を防ぎます。
多くの人がその予防接種を行うことで、集団の中に感染者が出ても流行を防ぐといった集団免疫効果が発揮されます。
そういうことでワクチン接種することができない人を守るということにも繋がります。
予防接種は病気に罹らなくするためではなく、かかっても重症化を防ぐためにあります。
例えばインフルエンザの場合世界中で毎年約40万人が亡くなり、日本でも毎年1万人以上が亡くなっています。

2023.12.25

ロタウイルスワクチンについて

2023.06.20

麻疹(ハシカ)の流行再来!?

今年の第22週時点で麻疹患者が全国で14人との報道があり去年の罹患数を超えました。東京都で5名、大阪で3名、兵庫でも2名報告があります。
2歳以下が3名、残り11名は20代以上です。

麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身性感染症です。 空気感染し、感染してから10~12日後に発症します。手洗い、マスクのみで予防はできません。また感染力が強く、ワクチン未接種の場合ほぼ100%罹患するとされています。

発症すると、発熱、咳、鼻水、目の充血、発疹などの症状が現れます。重症化すると、肺炎、脳炎、肺炎球菌感染症、細菌性髄膜炎、脳症、血小板減少症などの合併症を引き起こすこともあります。

麻しんワクチンは、1回接種のみでは2-5%の割合で免疫が十分には得られない場合がありますが、2回接種をすると免疫獲得率は97-99%以上とされています。日本も2回接種にしたことで、麻しんの国内発症が減少し、2015年には世界保健機関(WHO)より国内麻しん排除状態と認定されるまでに至っています。しかし、麻しん・風しん2期(5-6歳)の接種率は目標の95%に達していないこともあり、国外からの輸入感染による集団発生は未だに認められています。そのため国民全員が2回の予防接種を行い、集団免疫を高めておくことが非常に重要です。
また、麻しんの免疫が不十分な方でも、麻しん患者と接触後72時間以内にワクチンを接種することで麻しんの発症を防げる可能性があります2)(緊急接種)

麻疹に感染してしまった場合は、早めに医療機関を受診してください。麻疹は、重症化すると死に至ることもあるので、早期発見・早期治療が大切です。
麻疹の治療は、対症療法が中心です。発熱に対しては解熱剤を、咳に対しては鎮咳剤を、発疹に対しては抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用します。また、重症化した場合は、入院して治療を行うこともあります。

世界では年間9−15万人が亡くなり、2019年には20万人の死者が出ました。
ワクチン接種の遅れている国では死亡率が3%〜6%でさらに増える可能性があるとされています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、海外でも日本でも様々なワクチンの予防接種率が下がり、2023年6月でも地域によってはインフルエンザが流行したりと感染症のブレイクアウトが起こっています。
新型コロナウイスるが5類に移行されるようになり、国際的な人の往来が徐々に増加しています。麻疹に感染した国内外からの観光客が、公共交通機関等を利用することで国内での広域的な麻しん患者発生への影響も懸念されます。

麻しんは、空気感染を含む多様な感染経路を有する感染性の強いウイルス感染症です。ワクチン接種が最も有効な予防法であることから、麻疹接種がまだや1回のみの方は接種を実施していただくようお願いします。

当院でも予約制ですが、自費の麻疹ワクチンに対応しております。
ご希望の方は、お電話やご来院時にお問い合わせください。

2020.12.22

中学生になったら子宮頸がんワクチンを!

最近このような葉書が届きました。

子宮頸がんワクチンの定期予防接種についてのお知らせ(ハガキ)

子宮頸がんワクチンってなんですか?
まだ公費接種(無料)で間に合いますか?

という問い合わせが来るようになりました。

小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(概要版)

小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ (概要版)リーフレット(概要版)

小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(詳細版)

小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ (詳細版)リーフレット(詳細版)

HPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へ

HPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へリーフレット(受けた後版)。

※上記画像をクリックして頂けましたら、PDF展開します。
※引用元:厚生労働省・ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~ 

子宮頸癌は年間1万人が罹患し年間2800人が亡くなっています。子宮頸癌は発症年齢が20-40代と若く妊娠や出産にも影響します。
子宮頸癌の95%はヒトパピローマウイルス(HPV)が原因になっています。
HPV自体はありふれたウイルスであり、性交渉経験のある男女の50-80%にすでに罹患していると考えられています。
そのうち一部女性にHPVによる細胞の異常(ガン化)が起こります。
その中でも特にHPV16型.HPV18型はガン化の進行が早いと言われています。
HPVワクチン接種でHPV16型.HPV18型の感染を防ぐ可能性が高くなります。
HPV6.HPV11は主に尖形コンジローマ感染の原因になります。

日本で承認されているワクチンは以下です。

日本での定期接種は2020年現在はサーバリックス・ガーダシルの2種です。 公費対象:小学校6年生(年度始め4月1日)から高校1年生(年度末3月31日)
海外ではすでに9つの型のHPVワクチンが公費接種されています。

  サーバリックス ガーダシル シルガード9
HPVの種類 2 4 9
予防するHPV 16.18 16.18
6 .11(尖形コンジローマ)
16.18.31.33.45.52.58
6.11(尖形コンジローマ)
接種時期 1回目:中1
2回目:初回の1ヶ月後
3回目:初回の6ヶ月後
1回目:中1
2回目:初回の2ヶ月後
3回目:初回の6ヶ月後
1回目:中1
2回目:初回の2ヶ月後
3回目:初回の6ヶ月後
公費・自費 公費 公費 自費(2023年4月より公費予定)

米国・オーストラリア・イギリス・北欧では積極的に取り組んでおりHPV感染やガン病変の発生が優位に低下しています。 しかし、医療分野で発展途上の日本では増加傾向にあります。各国の子宮頸がん死亡率(年齢調整)の推移文献:https://www.asahi.com/articles/SDI201904041618.html

HPVワクチンは日本で2010年に公費助成になり2013年4月より定期接種化されましたが、失神や持続的な痛み・運動障害が出たという報告が多くなり わずか2ヶ月後の2013年6月、厚生労働省はHPVワクチン接種の積極的推奨の一時中止を決定しました。 定期接種が始まった当初は接種率70%でしたが、近年は1%以下にまで下がってきてしまいました。 その結果接種率の高い世代では、HPV感染や、子宮頸がんリスクの低下を認めていますが、それ以降の世代では、接種前の世代と同程度に戻っています。 HPVワクチン推奨中止から7年経ちますが、いまだHPVワクチン接種後の慢性疼痛などの因果関係の説明がないままです。

HPVワクチン接種後の副作用について

HPVワクチンは筋肉注射であるため、90%以上の方に痛みや腫れなどの局所症状が生じると言われています。

接種後の失神

10代にワクチン接種をする場合、どんなワクチンでも迷走神経反射による失神が起こる可能性はあります。 迷走神経反射は、注射の痛みや恐怖、不安の精神的動揺で自律神経系が刺激され全身の血管床が拡張するため脳血流低下が起こり、一過性に血圧や心拍数が低下し、倒れたりふらっとなったり、気分が悪くなったりする生理現象です。失神後転倒などを防ぐため接種後30分は背もたれのある椅子に座っていただく様お願いします。

複合性局所疼痛症候群(CRPS)や運動障害などの報告について

HPVワクチン接種後に激し痛み、痺れ、脱力が長く続くという報告が多く出されています。
世界中のデータを元に評価したWHOでは、HPVワクチンの安全性を謳われています。 日本の研究でもHPVワクチンの安全性が証明されています。
いわゆる名古屋スタディです。 名古屋市民7万人を対象にしたアンケートで、3万人のデータ解析を行った結果ワクチン接種した人としていない人で特定の症状に差が見られないという結論が得られました。 2015年2月に、ワクチンと症状との因果関係は認められないという以下の論文が出されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708
しかし、講義を受け名古屋市HPから削除されています。

どんなワクチンにも有効性と有害事象(副反応)は存在します。
HPVワクチンは世界的に推奨されており、ワクチンと「子宮頸がん検診」を受けることでHPVの罹患率の低下、子宮頸がんの低下につながっています。
日本小児科学会・産婦人科学会などはHPVワクチンと 検診を強く推奨する声明を幾度も発表していますが、いまだに厚生労働省は慎重なようです。
2021年に日本に認可予定のシルガード9ですが、定期接種化にはまだまだ時間がかかりそうです。 さらに日本では「子宮頸がん検診」の受診率が低いことが問題になっています。
女性の子宮頸がん検診受診割合(20-69歳)※厚生労働省 https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_2019/outline/low.htmlより引用

1日でも早い風評被害の払拭を願い、子宮頸がんワクチンの摂取率向上と、HPVウイルス・子宮頸がん罹患率の低下を祈るばかりです。