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2025.09.01

【HPVワクチン】子宮頸がんだけじゃない!男子も対象に広がるワクチンの効果と最新事情

今回は、ここ数年で大きく見直されてきた「HPVワクチン」についてのお話です。「子宮頸がんのワクチンでしょ?女子だけが打つものじゃないの?」と思われている方も多いかもしれませんが、実は違うんです!

HPVワクチンとは?

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性交渉を介して感染するウイルスで、がんの原因になることが分かっています。
このウイルスに感染しても、多くの人は自然に排除できますが、一部は体内に残り、数年〜十数年かけてがん化することがあります。

HPVワクチンで予防できるがんの種類

HPVワクチンは、少なくとも6種類のがんを予防できるとされています。

がんの種類 対象(男女)
子宮頸がん 女性
外陰がん 女性
膣がん 女性
肛門がん 男女
陰茎がん 男性
咽頭がん・中咽頭がん(頭頸部がん 男女(特に男性)

さらに、尖圭コンジローマ(性器にできるいぼ)も高率に予防できます。

いつまでに打てば効果がある?

HPVワクチンは感染する前に打つのが最も効果的です。

ベストな接種時期

* 9〜14歳(特に初経前・性交渉前)**が理想
* 世界保健機関(WHO)は「9〜14歳での1回接種でも十分効果がある」と推奨
* 日本では小学校6年〜高校1年相当の女子に定期接種が行われています(男子は任意ですが、一部自治体で助成開始)
* 東京都の大部分で男子でも自己負担なしの助成が出ていますので、近いうちに全国的にも広がってくれることを期待します。
 

大人でも効果はあるの?

* 性交渉の経験があっても、すべてのHPV型に感染しているわけではないため、効果はあります。
* 26歳までなら推奨されることが多く、45歳まで接種しても一部効果が期待できるとする国もあります(米国CDCの指針など)。
* 日本では大人への定期接種は行われていませんが、希望者は自費で接種可能です。

何回打てばいいの?

年齢 回数 接種間隔の例
9〜14歳 1回(WHO推奨) or 2回 0か月・6か月
15歳以上 3回 0か月・1か月・6か月

過去の混乱(日本の2009年〜の出来事)

HPVワクチンは日本では2009年に導入され、2010年には公費助成が始まりました。当初は接種率が70%以上と高く、子宮頸がん予防の切り札として注目されました。しかし、2013年に副反応がテレビ等で過剰に報道され、科学的根拠が乏しいにも関わらず、厚生労働省は「積極的勧奨を中止」。その結果、接種率はほぼ0%にまで低下しました。
これにより、本来予防できたはずのがんを発症した若い女性が増えるのではと危惧され、世界中から日本の対応は批判を受けました。ようやく2022年に積極的勧奨が再開され、再び接種率は回復傾向にあります。さらに2025年からは一部自治体で男子への助成も始まり、少しずつ正しい理解が広まりつつあります。

男の子にも打つべき?

はい、強くおすすめします。
男の子もHPVに感染すると、将来的にがんを発症するリスクがあります。とくに、咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなどは男性にとって深刻な問題であり、性交渉の相手にうつすこともあります。
世界では、すでに30か国以上が男子への公費接種を実施しており、日本も追いつきつつあります。

さいごに

「HPVワクチンは、“がん予防ワクチン”です。男の子・女の子関係なく、将来の健康を守るために、できるだけ早く受けてほしいと願っています。副反応の心配もあると思いますが、過去の報道には科学的根拠に欠けるものも多く、現在のデータでは安全性は高く評価されています。」